それでも、愛していいですか。
「奈緒ちゃん。久しぶりだねぇ~。あら~きれいになっちゃって」
伯母の圭子が、明るい声で迎えた。
この人は自分の親が亡くなったというのに、どうしてこんなにあっけらかんとしていられるのだろう、と思ったが、周りを見まわすと、他の大人たちもみんな、悲しみに暮れているような人はいなかった。
みんなバタバタと動き回り、悲しみにひたっている暇なんてなさそうだった。
「奈緒、お帰り。こっちこっち」
父は、バタバタと忙しそうにしながら、奈緒を和室へ呼んだ。
そこには、白い布を被っている祖母が、いつも使っていた布団の中で眠っていた。
「おばあちゃん……」
それを見た途端、ぐっとこみ上げてくるものがあった。
「顔、見てあげて」
父が白い布を取る。
祖母の顔が表れると、胸がズキッと痛んだ。
丸顔だった祖母の顔は痩せこけていて、骨と皮だけになっていたからだ。
おそるおそる祖母の顔に触れると、とても冷たかった。