それでも、愛していいですか。
「好きな人がいるのに、結婚できないなんて、辛いね」
奈緒がそう言うと、「そうだね」と言って父はお茶を一口飲んだ。
「今頃、あっちでおじいちゃんと好きだった彼と三角関係で揉めてたりして」
奈緒が冗談を言うと、伯母は「おばあちゃん、モテていいわね~」と言って、大きな口を開けて笑っているかと思えば、突然、
「奈緒ちゃんが彼氏連れてきたら、正夫も大変だね」
と父をからかった。
「それはその時に考える」
「あんたが考えても無駄なのよ。二人の気持ちが決まってたら決まりなんだから。おばあちゃんの時代とは違って」
伯母はケタケタと笑った。
……好きな人。
阿久津の顔が浮かんだ。
そう言えば、今日だった。
先生の歓迎会はどんな感じだったのだろう。
奈緒は、熱い緑茶を一口すすった。