それでも、愛していいですか。
「そう」
美咲は安堵の声を漏らすと、背もたれに体を預け。
「涼介さんが他所(よそ)の人に自分のプライベートなことを語るなんてめずらしいから。変な心配しちゃった」
美咲の笑顔に、胸が痛んだ。
同時に、他所の人、という言葉に険を感じた。
この人は、阿久津先生の秘密を知っている。
この人は、きっと、阿久津先生のことを思っている。
美咲が自分をけん制しているのがありありとわかった。
『これ以上、仲良くならないでね』
そう言われている気がした。