色彩恋愛
俺はそのまま教室に一度引き返し、授業が終了したと同時にC組に向かった。

教室では、藤井綾ともう一人の幼なじみの紗絵子がいた。

「おい。」

藤井綾に声をかければ、目を丸くして驚いた顔をした。

(まるで化け物でも見たかのような顔しやがって。)

少しイラッときたが、俺としては珍しく抑えた。

「これ…さっき落としたぞ。」
「あっ!すみません。ありがとうございます。」

藤井綾は、笑って俺の方を見た。
なんか、コイツ俺の勘にさわる…。

「悠紀が拾って、わざわざ届けにくるなんて珍しいこともあるのね。」

藤井綾と一緒にいた紗絵子が、厭味を言ってきた。
紗絵子は、俺が『俺らしくない』ことをした時は必ず厭味を一言だけ言う。

「悠紀…君?」
「1年A組、高宮 悠紀。」
「悠紀君、ありがとう。」

また、こいつは笑った。
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