Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 次に目覚めた時には、視界が揺れてた。


 誰かにおんぶされている。


 大きな背中、頬から感じる体温。


 お兄ちゃん?そう思ったけど、違う。


 お兄ちゃんはもっと華奢だ。


 シャツの襟元から微かなタバコの匂いがして、正体が紅虎だと解った。


 「あれ?紅虎が何で?」


 「・・・起きたか・・・葵が責任とって家まで送れとさ。全くとんだシスコンだなあいつは・・・」


 あ~あと仕方なさそうにため息を吐く。


 手首にはリードが巻かれていて、はぁはぁと荒い息をしつつ、ロミが先導してる。


 「もう、大丈夫そうだから降ろして。歩くから」


 と言った所で気が付いた。


 靴を履いていない。


 シートに上がる時、靴を脱いだのを思い出した。


 「・・・と思ったけど、靴がないからこのままおぶって下さい」


 「マジかよ、葵の奴わざとだな・・・」


 恨めしそうに舌打ちをする。


 周りを確認したら、後100m程で例のバス停だ。


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