Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
「何かフェスティバルがあって行ったんだっけ?よく覚えてないけど、キャンベラって街道が街の中心から蜘蛛の巣みたいになってて、街自体が整備されててキレイなんだよな。で、国会議事堂に行くまでの川沿いの通りにピンクの花がぶぁ~って並んでて、あまりにも見事だったから、思わず車を停めた」
紅虎が見たこともないくらい優しい表情で語り出したので驚いた。
これがあの紅虎?っていうくらい。
紅虎はその時の思い出を噛み締めるように空を仰いだ。
「それが八重桜だったんだ?」
「桜って英語で何て言うの?」
「Cherry blossom」
「そのままなんだね」
紅虎の携帯が鳴り、立ち上がった。
自分の部屋に戻りつつ、Hello?と電話に出ていた。
あたしは今まで紅虎が座っていたお兄ちゃんの隣に腰を下ろした。
「あれはきっと大切な思い出に違いない」
紅虎が去った後、お兄ちゃんは確信したように頷いた。
「紅虎って彼女いたんだ?」
「いや、今はいないよ。きっと高校時代のキラキラした思い出だったんじゃないかなって思って。虎があんな風に目を細めて思い出を語ることってあんまりないからさ」
「ふうん」
高校時代のステキな思い出ね・・・そりゃ、顔もそこそこ良くて、お金持ちだし、寄ってくる女の人もたくさんいるだろうな。