嘘、鬼よ。











―――
―――――




年が明けてから3ヶ月と少し…。


表面上は特に新撰組を揺るがすようなことはなく、平和に暮らしている。



時々巡察で不逞浪士とやり合うことがあった。

しかし、私の刀は未だ血の味を知らずにいる。


知らなくていいと思っている…。


いや、知りたくないんだ。





季節は春。

桜は五分咲きといったところで、そろそろ見頃だ。



池田屋は何月だっただろうか…?

冬ではなかった気がするが……




そろそろ情報が入ってもおかしくはない。

覚悟を決めなければならない。



私は、池田屋へ行って戦力になりたい。

これが歴史を変えてしまうものなのか否かわからないが、池田屋だけは自分の足で、目で、手で、全てで感じなければならないと思っている。



しかし池田屋にいくということは勿論、人を斬らずにはいられなくなる。

未だ血の味を知らない刀をぶら下げていくわけにも行かないだろう。



しかし人を殺す勇気なんて私には…ない。
















< 86 / 141 >

この作品をシェア

pagetop