世界が終わる時の景色



「大丈夫、シェフに夕食はイタリアンでって頼んだから」

「さすが日向!ありがとう」

「だから、今は和食で我慢して」

「ええ、もちろんよ」


「楽しみだな」なんて無邪気に微笑む彼女。

年を重ねて美しさも色気も増したけれど、
時折見せる昔と変わらない一面に、隠している気持ちが跳ねる。


「ねぇ日向、次の授業抜けて?」

「え?」

「私も抜けるから」

「……」

「ご飯食べて、いつもの所」


悪戯な彼女の微笑みには、色香が漂う。



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