世界が終わる時の景色



志乃が寝た事を確認し、
執事としての仕事を終えた。

執事服を脱ぎ捨てて入浴しスエットを着れば、
そこに居るのはもう"日向"で。



―「結婚、するわ」



平然を装い、なんとかいつも通りに振る舞ったけれど、
ずっとこの言葉が頭の中を回っていた。

ベッドの中に入ってみても、なかなか寝付けない。

今は何時だろう、と枕元の携帯を手に取った時、
いつの間にか来ていたメールに気が付いた。


「……」


そのメールを見た瞬間、部屋から飛び出して。

向かうのは、志乃の部屋。


「遅かったわね」


ノックもせずにドアを開けて、部屋に入る。

彼女は月明かりに照らされたバルコニーに居た。


「…今、メール見たんだ」



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