世界が終わる時の景色



「そう」


志乃は日向に目を向けないまま。

ずっと、夜空を眺めていた。

その姿が何処か儚げで、消えてしまいそうで。

ゆっくりと歩み寄り、その華奢な背中を抱き締めた。


「何?」

「…"日向"なら、こうするよ」



―部屋に来て。
ただし、"日向"として。
これは命令じゃないわ。



「…篠山、なら?」

「お嬢様、明日の学校に響きますのでお休みください」

「ふふっ、凄い変わりようね」

「使い分けてるんだ、これでも」



< 35 / 207 >

この作品をシェア

pagetop