世界が終わる時の景色



「…僕も、そう思うよ」


志乃以外には見せない、極上の笑み。

日向の笑みもまた、狂気的だった。

吸い込まれるように唇が重なり、
それは深く深くなっていく。

ふたりの罪を、月だけが見ていた。



―・・・



「3年の瀬崎先輩が亡くなった」という噂は、
すぐに日向の耳にも届いた。

あの女の呼び出しを食らわない平和な日常。

ふいに窓の外に目を向けると、志乃の姿が見えた。

また告白されているようだ。

ああ、またか、と思うと共に、あの男はどう消そうか。

そんな事を考えていた。

考えるだけなら、自由だろう?



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