何よりも甘く切なく
呆れながらも数学の教科書やノートを机から引っ張り出すオレに、リエイは唇を尖らせる。


男友達のまるで女子みたいな仕種に、思わず顔が引きつった。


「なんか今日冷たいぞ、泉未!まさかお前もフラれたのか!?」


「何言ってやがる!!オレはフラれてなんかねぇ!!つーかそもそも彼女いねぇし!!」


バカげた言い合いを繰り広げながらも、オレは学校が好きだった。


気の合う友達がいて、勉強や部活に打ち込んで――――…それだけで充分だった。


まさかこれからそれだけじゃ満足出来ない様になるなんて……思ってもいなかったんだ。
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