何よりも甘く切なく
背景に花を散らし、上機嫌で弁当を食べていたリエイの箸が、急に止まった。


よくよく見てみると、眉間には深いシワ。


「確か1週間前はA組の女の子と出かけているの見たって、誰か言ってなかった?」


「ああソレ私も聞いたーー」


ペチャクチャ話し込んでいるクラスの女子の方を、軽く睨んでいた。


「チッ……何だってこの世には、あんなに軽い男がいるんだよ」


「まだ須藤先輩の事苦手なのか?お前」


「“苦手”なんてゾーンじゃねぇよ!!嫌いだ嫌いっ!」


オレの問いかけに、リエイは箸を握りしめて苦々しげに吐き捨てた。
< 30 / 437 >

この作品をシェア

pagetop