何よりも甘く切なく
でもオレは振り返る事無く、空き教室を出て行った。


これでいいんだ。


きちんとオレが甘木先輩に相応しいのか考えるには、1人で冷静に考えなければいけない。


だから少し勝手かもしれないけれど………後には引けないから。


「頑張れ、オレ……」


スタスタと廊下を歩くオレは、全く目の前の大事な事が見えていなかった。


「私には……泉未しかいないんだよ………傍にいてよ………」


空き教室に残して来た甘木先輩が、しゃがみ込んで泣きじゃくっていたなんて露知らず。


オレがした事は、“墓穴を掘る”以外の何物でも無かったんだ。
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