夢を見る
「かしこまりました。お待ちくださいませ」


 ウエイターが一礼し、厨房へと向かった。


 あたしも思う。


 姫沢や瀬岡たち上の人間はじっと沈黙を守っているのだが、胸中では一体何を感じているのだろうかと。


 加賀美コンツェルンの仕掛けてきた株の不正操縦はものの見事に暴かれた。


 金融庁と検察庁が手を組んだことで、一法人の手掛けた、株に絡む事件は幕を引いたのである。


 どう言っていいのか、分からなかった。


 だけど、これから先への教訓となるのは間違いない。


 そう思い、食事休憩の時間中でも考え続けた。


 いろいろと。


 想いを巡らすごとに、内部情勢が克明になる。


 その日の食事はメインが豚肉と季節の野菜の炒め物だった。
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