夢を見る
 あたしも風に吹かれるような生き方をしているのだ。


 別に考え過ぎずに。


 忙しい合間でも、なるだけ思い詰めずに、毎日を送っている。


 仕事は続いていた。


 十月も下旬に差しかかると、幾分寒さが増す。


 暑さは平気だったのだけれど、冷え込むのには、相当気を払っていた。


 それに第一、フロアの主任だ。


 一つの係を任されているのである。


 もちろん瀬岡が課長としていたのだし、上の人間も大勢いて、社は回り続けていた。


 今回の加賀美コンツェルンの起こした事件は尾を引いている。


 まあ、単に成川がこの街に来た時、応対したのがあたしだったというだけで……。


 あの人間や他の関係者たちの裁判が始まっている。


 株に絡む犯罪は審理が難しい。
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