甘え下手
「ぜ、全然! 用ないです!」

「あ、そ」

「……阿比留さんって」

「なに?」

「女嫌いってホントですか?」


私だけならいざ知らず、沙綾にも全く興味を示さないのが気になって、つい余計なことを聞いてしまった。

社内の噂って本当なのかなってミーハー心で。


言った後、さすがに初対面で失礼だったかなって自分でも引いたけれど、阿比留さんはさっきと同じように口端を上げて意地悪く笑った。


「べつに。そう見える? 比奈子ちゃんだっけ? アンタに興味示さない男が珍しいって?」

「まさかっ。さーちゃんですよ! さーちゃんに興味示さない男の人が珍しいから、それで……」

「随分、妹のこと評価してんだな。でもそれって卑屈すぎねえ?」

「……え?」


面と向かって卑屈だなんて言われてドキリとする。

一瞬、意味が分からなかったけれど、それでも酷いことを言われてるのは分かった。
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