甘え下手
ぶはっと梅酒を吹き出しそうになってしまった。

阿比留さんには日常的なセリフでも、私にとっては未知の世界の言葉だ。


だけどすぐに誤魔化されたんだと気づく。

ノンアルコールなのにグイグイと飲みほして自分を景気づけた。


「……阿比留さん!」

「何、ノンアルコールで酔った?」

「何か悩みがあるのなら、私に相談してください!」

「はぁ?」


ドンと胸をたたいて宣言する私を、阿比留さんがいぶかしげに眉根を寄せて見ている。


「……阿比留さんが今日会いにきてくれたこと、すごく嬉しかったです」

「……」

「だから今度は私が阿比留さんを元気づけたいんです」


私の言いたいことが分かったらしい阿比留さんは、脱力したように座っていたソファにもたれかかった。


「一生直んねーな、その性格は……」
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