甘え下手
「アンタは?」

「へ? 私は濡れてないですけど……」

「アンタは怒らないの?」

「……」


あ、さっきの話か。


「怒ってますよ」

「普通、怒るのそっちだよな。妹がキレるとかおかしくね?」

「デリケートな問題に口出すからですよ」


ジロリと睨んで冷たい口調で言ってやる。

髪の毛まで濡らした阿比留さんは、うっとおしそうに前髪をかきあげている。


水もしたたるいい男とはよく言ったものだ。

まあ、カクテルでベタベタないい男じゃ、萌えないけれど。


「てことは図星なんだ」

「だからデリケートな部分に触らないでください」


沙綾に彼氏を取られたわけじゃない。

いつも私の好きな人が、勝手に沙綾に惚れるだけ。


さーちゃんは悪くない。

だけどきっとそのことを引け目に感じている。


話題にも出せない、私達姉妹のとてもデリケートな問題。

仲良しだからこそ、口に出せないことだってある。
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