甘え下手
だけどこんな言い方、追求してくれって言ってるようなもんだよね……と思いながら参田さんを見つめると、参田さんは意味が分からないといった様子で数回瞬きをした。

その様子をじっと見つめていると、数秒私と目を合わせていた参田さんはその表情から微笑みを消して、それからコクリとうなずいた。


「……そっか、分かった」

「……はい」


てっきり詳しく追及されると思っていた次の言葉は、拍子抜けするほどアッサリとしたもので、これで納得してくれたのかどうか私には分からなかった。

もしかしたら私、相当変な顔してたのかな。


ぱちぱちと軽く頬をたたいて、ムニムニと顔の筋肉をもみほぐす。

いつもならそんな私をからかって遊んでいる参田さんは、やっぱり私に構うことはなくて、パソコンに向かってスケジューラーを立ち上げている。


これって参田さんの優しさなのかもしれない。

ってことは私、まだまだ普通にできてないんだな。


櫻井室長の前じゃ、もっと上手くやらないと。

そう思いながら胸に挿したボールペンをギュッと握った。


「あれ、比奈子ちゃんそれ……」

「へ? えっ? ボボボールペンですけど?」
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