甘え下手
『俺も飯まだだから。今日はお互い家でってことで』

「はい。えっと……ご飯ありますか?」

『コンビニ行くから。比奈子は?』

「うちはおでんです」

『おでんか、いいね』


阿比留さんがそう言ってくれたから、やっぱり阿比留さんに私のおでんを食べさせたくなった。

だけど我慢、我慢。


明日も仕事だから迷惑になっちゃいけない。


「じゃあ……、おやすみなさい」


電話を切り上げようとすると、電波の向こうで「あ」と阿比留さんが声を上げたのが分かった。


「どうしましたか?」

『比奈子ちゃんさー、日曜暇?』

「は、はい」


もしかして次の約束をしてくれるんだろうか……と胸が躍った。

だけど続いた阿比留さんの言葉に私は仰天した。


『俺の実家で飯食わない?』

「はっ!?」
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