甘え下手
「じゃあ、期待通りお持ち帰りしてやろうか?」

「……え?」

「クリーニング代、アンタの身体で払ってみる?」


阿比留さんは濡れたYシャツを襟をつまんで見せつけるように、ニヤッと笑って言った。


え? クリーニング代?

そ、そっか、スーツだもん。クリーニング高いよね?


ここは弁償するべきだよね?

それより何より、なんだか阿比留さんのスーツって……。


「高そう……」


私のお給料で足りるかなあ。

なんてしょんぼり眉を下げながら、お財布の中身を思い浮かべているときだった。


阿比留さんがプッと吹き出したのは。


「高そうって……そっちかよ! 自分の貞操の心配したら?」


貞操って……!


「えっ、本気ですか!?」
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