甘え下手
やっと阿比留さんの言った言葉の意味が、現実のものとして頭に入ってきて、私の顔はぼぼっと赤く発火した。


「あれ、比奈子ちゃん。赤くなっちゃって可愛い。もしかして比奈子ちゃんってしょ……」

「わーっ! わーっ! セクハラ反対!!」


参田さんがそっち方面に話を持っていこうとしたから、慌てて耳を塞いで大声でわめいた。

社内の女の子達の噂話を思い出す。


阿比留さんって女嫌いじゃなかったんだ……。

じゃあ、正しい噂ってもう1コの方……?


裏でめちゃくちゃ遊んでるって……。


「んじゃ、行くか。早くシャワー浴びたいから近くのホテルでいいよな」

「……なっ、なっ、なんで私に確認を!?」

「クリーニングもホテルで出せばいいだろ」

「セ、セレブ発言ですね」

「ええーっ、お前らなに楽しそうな相談してんの? 俺も混ぜてよー」

「俺そういう趣味ないし」

「俺もねえけど!」

「わ、私……!」
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