甘え下手
もうそこから頭を離した方がいいって分かってるのに、思いつく話題は優子さんのことばかり。

だけど阿比留さんは特に表情を変えずに答えてくれた。


「ああ、そう。高校の時から。ってろくに勉強なんかしてなかったから、かなり迷惑かけてた」

「……そうなんですか。なんか意外です」

「優子さん、よく泣いてたな」

「問題児だったんですね……」

「勉強ばっかしてるヤツだと思ってたわけ?」

「そうじゃないですけど……。不良には見えませんでした」


私が正直な感想を述べると、阿比留さんはハハッと面白そうに笑った。


「いい年してヤンキーに見えてたらまずくね?」

「まあ、そうですけど」

「比奈子ちゃんはクラス委員とかやってたクチ?」

「いえ、クラス委員はやってなかったですけど、テニス部のキャプテンやってました!」

「へえ、部活少女だったんだな」


そうして学生時代の思い出話を少しして、阿比留さんの卒業アルバムを見せてもらった。

そういうの嫌がるタイプだと思ったのに、阿比留さんはすんなり見せてくれて、阿比留さんは今とたいして変わらずイケメンだった。


高校生にしたらずいぶん大人びている。
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