甘え下手
「まだ決まってないじゃん!」

「えっ、まだ決まってないの!?」

「だって私はまだ阿比留さんに告白してないし、お姉ちゃんは阿比留さんとヤッたの!?」

「ちょ、ちょっとお兄ちゃんの前で変なこと言うのやめてよっ!」

「ほらね~。お姉ちゃんは付き合い始めたって言っても友達に毛が生えた程度じゃん。まだ全然引っくり返せるもんね」

「沙綾……。姉の幸せを引っくり返そうとするなんて悪魔かお前は」

「ひどーい。お兄ちゃんどっちの味方なの!?」

「……」


沙綾がどこまで本気なのかサッパリ分からない私は、二人のやり取りをただ眺めるだけだ。


だけど内心本気だったらどうしようって不安に思う気持ちはある。

さーちゃんに恋愛関係で勝てるなんて思ってない。


「俺はどっちの味方でもねえ。とりあえず付き合うなら面通しだな」

「えー、結婚するわけでもないのにお兄ちゃん大ゲサ!」

「比奈子はもう26だぞ。大ゲサでもないだろ」

「それを言うならお兄ちゃんのが先だと思うー」
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