甘え下手
***

約束通りに週末にはお泊まりセットを持って、阿比留さんのマンションへ行った。

阿比留さんは荷物を置いていってもいいよと言ってくれるけれど。


いつでも泊まれる用意ができてたら、私は平日も誘惑に勝てなくなってしまう。

誰と戦ってるの? と自問自答してみるけれど。


答えは単純。

なあなあになってしまえば、自分で自分が許せなくなる私はそんな性格なのだ。


そんな私を阿比留さんはベッドの中ではとびきり甘やかしてくれる。

時に意地悪を言ったりしたり、でも最後には「可愛い」って言ってギュッと抱きしめてくれる。


素肌で抱き合った後、阿比留さんの腕枕でぼーっとしてふわふわしている時間はまさに至上の幸福で、とろとろとまどろむと自分が融体になって溶けていくような気さえする。

この時間が私はたまらなく好きだ。


眠たくて、眠るのがもったいなくて必死で耐えながら、半分夢を見たりして。


「……阿比留さん」

「ん?」


胸に耳を当てて阿比留さんの心臓の鼓動を聞きながら、問いかけた。


「まだ眠れない夜がありますか?」

「……」
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