甘え下手
「なんか困ったことがあったら言えよ?」
「……私、櫻井室長の直属の部下じゃない」
「上司としてじゃなくて、兄キのダチとして助けてやるから」
お兄ちゃんの友達として……、か。
本当は一人の女の子として、が理想なんだけど。
嬉しさと少しの切なさが入り混じったまま、私は微笑んでみせた。
「ありがとう……。航太(こうた)さん」
「うん。それじゃ、おやすみ」
片想い相手の職場の上司を。
名前で呼べる権利を私は持ってる。
こんな関係に自己満足して、もう四年。
私達の関係に発展も変化も見られないまま、時だけがゆっくりと過ぎていく。
駅へと向かうスーツの背中を見送って浸っていると、「なんで入らないんだ。さっさと閉めるぞ」と兄のぶっきら棒な声が聞こえた。
「……私、櫻井室長の直属の部下じゃない」
「上司としてじゃなくて、兄キのダチとして助けてやるから」
お兄ちゃんの友達として……、か。
本当は一人の女の子として、が理想なんだけど。
嬉しさと少しの切なさが入り混じったまま、私は微笑んでみせた。
「ありがとう……。航太(こうた)さん」
「うん。それじゃ、おやすみ」
片想い相手の職場の上司を。
名前で呼べる権利を私は持ってる。
こんな関係に自己満足して、もう四年。
私達の関係に発展も変化も見られないまま、時だけがゆっくりと過ぎていく。
駅へと向かうスーツの背中を見送って浸っていると、「なんで入らないんだ。さっさと閉めるぞ」と兄のぶっきら棒な声が聞こえた。