甘え下手
小さな違和感に気づきながらも、時間が解決してくれるだろうと放置を決め込んでいた。
そんな俺達の間に微妙な杭を打ち込んだのは、他でもない櫻井室長の存在だった。
婚約を発表したからか、室長と比奈子は今まで以上に社内では接触しなくなったように思う。
それはそうだろう。
あの二人の関係を知らない社員が見たら、櫻井室長の二股だって噂がたってもおかしくない。
それなのに比奈子は櫻井室長の話題をよくするようになった。
二次会の幹事を広哉さんがやることになったらしく、比奈子もその準備を手伝ってるらしい。
相変わらずのお人好しぶりだ。
「それでですね、今週の土曜日は二次会準備の買い物に出かけるんです。お兄ちゃんと」
「へー。いいんじゃね? 俺ちょうど土曜出勤だし」
ひとつ営業先の打ち合わせが入ってるだけだから、たいした時間は取らないはずだが比奈子が気を遣わないようにそう言っておいた。
「夜は?」
うかがうように訊いてくる比奈子を可愛いと思う。
優子さんからパッタリ連絡が途絶えたことも気になっていたから、本当は実家にでも顔を出そうと思っていたけれど、上目遣いの誘惑に負けた。
そんな俺達の間に微妙な杭を打ち込んだのは、他でもない櫻井室長の存在だった。
婚約を発表したからか、室長と比奈子は今まで以上に社内では接触しなくなったように思う。
それはそうだろう。
あの二人の関係を知らない社員が見たら、櫻井室長の二股だって噂がたってもおかしくない。
それなのに比奈子は櫻井室長の話題をよくするようになった。
二次会の幹事を広哉さんがやることになったらしく、比奈子もその準備を手伝ってるらしい。
相変わらずのお人好しぶりだ。
「それでですね、今週の土曜日は二次会準備の買い物に出かけるんです。お兄ちゃんと」
「へー。いいんじゃね? 俺ちょうど土曜出勤だし」
ひとつ営業先の打ち合わせが入ってるだけだから、たいした時間は取らないはずだが比奈子が気を遣わないようにそう言っておいた。
「夜は?」
うかがうように訊いてくる比奈子を可愛いと思う。
優子さんからパッタリ連絡が途絶えたことも気になっていたから、本当は実家にでも顔を出そうと思っていたけれど、上目遣いの誘惑に負けた。