甘え下手
『デビル』って言うと思った、比奈子なら。

そして彼女なら『妬いてくれて嬉しい』的な態度を見せてくれると思った。


だけど比奈子はちょっと考えるような仕草を見せた後、「……分かりません」と小さく答えた。

どことなく浮かない表情にも見える。


何度も感じる小さな違和感。

そういう時に感じる、似てると思っても彼女は自分とは別の人間なんだと。


所詮、彼女が櫻井室長をどれぐらい忘れて、どれぐらい未練があるかなんて本人にしか分からない。

つかめそうでつかめないもどかしさを感じたくないから、気づいた躓きを頭の隅に押し込める。


自分のものにしたくて、彼女頭の中を自分の存在で埋めたくて。

傲慢な独占欲を押しとどめずに彼女にぶつける。


その夜は少し乱暴に彼女を抱いた。


それでも嫌がったりしない彼女は、想いに応えるように、すごい力でしがみついてきた。

それで彼女の気持ちが自分にあるんだと確信できて、安心して眠りに就けた。
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