甘え下手
週末デートの帰り。
比奈子を家まで送っていって、そのまま家に上げてもらう光景ももう珍しいものではない。
月曜は出先へ直行でいつもよりも朝が早いから、どうしようかなんて一瞬思ったのだけれど、ガレージに櫻井室長の車を見つけてつい家に寄ることを了承してしまった。
一体なんのライバル心なんだろうと自分でも呆れるけど。
比奈子は大概、自分の家に俺を上げる時は部屋じゃなくてリビングに通す。
それが百瀬家の通常で、俺がいても兄貴も沙綾も普段通りに生活している。
閉鎖的な俺の家とはずいぶん違う家庭的な雰囲気に最初は戸惑ったけれど、今は嫌いじゃない。
だけどその日に限って比奈子は俺をそのまま二階の自分の部屋へと通した。
「……阿比留さん? どうかしました?」
「何が?」
「や、なんか無口かなあと思って」
「俺ってそんなベラベラしゃべる奴だっけ」
「……違います、けど」
ラグの上に二人並んで座って、比奈子はコーヒーカップを両手で持ちながら、うかがうようにこちらを見つめている。
「阿比留さんなんか機嫌悪い?」
比奈子を家まで送っていって、そのまま家に上げてもらう光景ももう珍しいものではない。
月曜は出先へ直行でいつもよりも朝が早いから、どうしようかなんて一瞬思ったのだけれど、ガレージに櫻井室長の車を見つけてつい家に寄ることを了承してしまった。
一体なんのライバル心なんだろうと自分でも呆れるけど。
比奈子は大概、自分の家に俺を上げる時は部屋じゃなくてリビングに通す。
それが百瀬家の通常で、俺がいても兄貴も沙綾も普段通りに生活している。
閉鎖的な俺の家とはずいぶん違う家庭的な雰囲気に最初は戸惑ったけれど、今は嫌いじゃない。
だけどその日に限って比奈子は俺をそのまま二階の自分の部屋へと通した。
「……阿比留さん? どうかしました?」
「何が?」
「や、なんか無口かなあと思って」
「俺ってそんなベラベラしゃべる奴だっけ」
「……違います、けど」
ラグの上に二人並んで座って、比奈子はコーヒーカップを両手で持ちながら、うかがうようにこちらを見つめている。
「阿比留さんなんか機嫌悪い?」