甘え下手
阿比留さんの放つ独特の威圧感に押されながらも、上目づかいで精いっぱいの抵抗を試みる。

沙綾と阿比留さんが食事をしたら、きっとその後は「身体で払ってみる?」の流れに持って行かれるに違いない!


ダメ、絶対!


「なんだそれ。つーか悪魔ってもしかして俺のこと?」

「いえいえいえ、悪魔なんて言ってませんっ。気のせいですっ」


ずいっと整った顔を近づけられて、ビクッとのけぞる。

男の人に耐性ないんだから、やめてー。


いつの間にか考えてることを口に出していたらしい。


「普通、心配だからついてくるとかじゃねえ? お詫びしたいって言ってるのにやめさせようとするか?」

「……そ、それがそんな簡単な話でもなく」

「なにが?」


さーちゃんが、私について来てほしくなさそうなんだもん。

あんな失礼なこと言った阿比留さんに好意を持ってるとは思わないけど。
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