甘え下手
「あ、私といるとまた阿比留さんにひどい嫌味を言われるのが怖くて……?」

「ひどい嫌味で悪かったな」


しまった、また考えてることが口に出ちゃった。

慌てて口元を押さえる。


「わ、私としてはここは穏便にクリーニング代と菓子折りを受け取ってもらえないかなーと思うわけですが……」


おどおどしながらもう一度、クリーニング代が入った白い封筒を差し出す。

だけど阿比留さんはやっぱり受け取ってはくれなかった。


「妹が謝りたいって言ってるなら、会ってやらないでもない」

「うげ……」

「潰されたカエルみたいな声出すな」

「すいません……」


私が謝ると阿比留さんはプッと面白そうに笑った。


「やっぱ面白いね、アンタ」

「はぁ」

「俺と妹が仲良くなるのが嫌だっつーなら、代わりにアンタが俺に食事オゴれば?」

「まさかの人身御供……!?」
< 43 / 443 >

この作品をシェア

pagetop