うさぎの学習


ケータイを左耳にあてた。


あなたに惚れた体の一部、左の耳があなたの声を待つ。


「久美ちゃんか?
昨日は悪かったなぁ」


和男さん……何に対して謝ってるの?


「…………」


「車で行ったやろ?
今、飲酒運転、罰金がきついからな、店でちょっとだけ休ませてもうたんや、
んで……朝、店出てから家に帰ったんや」


「休ませてもうたって……何処で?」


「1階や、ソファーで横になってた」


「それって……本当?」


「ほらぁ、疑ってるやろ?
何か、変な風に誤解してんのと違うかと思って電話したんや、
やっぱり、俺の思った通りやな」


店の閉店後……
ママはいつも2階で仮眠する、それで、和男さんが1階のソファーで寝たって……


それって本当?


「余計な誤解させて悪かったな……
明日、休みやろ?
また飯でも行こか?
美味しい焼き肉屋、見つけたんや♪」


明日は店の定休日だった、
心のモヤモヤも取れないままに、私はOKをしてしまった。


和男さんのセリフが嘘か誠か?分からない。


私達の関係は秘密厳守だったから……
直接、ママに聞くことなんて出来ないし……。


そうだ! えりさんがいた!




 
< 142 / 314 >

この作品をシェア

pagetop