KIGEKI

5場


「・・・ということが、昨日委員会の後であったの。」

昨日の話を昼休みに、嶋崎と河端に話す宮澤。

「それは・・・うん。なんというか・・・惚れるわね。」

「そうですね。現在入学してからたった3か月にして、その名を知らない女子生徒はいないほど有名なイケメン王子様ですからね。」

嶋崎はかけている眼鏡をクイッとあげながらそういった。

「そうなの?」

宮澤の顔を見ながら2人はこくりとうなづいた。

「ただのやり××君だと思っていたんですか?彼からそういうところを引けば、ただのイケメンです。だから、近づきたいと思っている女子は多いんですよ、意外と。」

真剣な顔で、嶋崎は宮澤に向かっていった。

「へぇ・・・。」

「へぇ・・・。・・・じゃないのっ!!その憧れの王子様を文化祭に参加させるわよ!!」


「・・・・それは・・・無理だと思う。」

宮澤の頭には、花園がめんどくさいと言って断る姿しか思い浮かばない。


「大丈夫よ。道具は、まだ使用期限を過ぎていないから。」

悪そうな笑みを浮かべて、河端は嶋崎の方を見た。

「はい、わが社の製品の効力は、他社とは比較にならないくらい長いです。それに、わが社はお客様の質問等を随時受け付けられるように、テレホンサービス、メールサービスも充実しております。」

そういって、嶋崎は自分の顔の横まで携帯を持ち上げた。

「花園の参加によって、稼ぎは倍になるわ!!顔は見たことあるけど、話したことはない、話してみたい。目隠ししてでも、花園君と話せるなら~っていう子はきっと多いわよ!!」

わくわくした口調でそう話す河端の瞳には、目の前にいる2人の顔ではなく、文化祭でがっぽり稼いでいる自分の姿しか映っていないようだった。
< 25 / 42 >

この作品をシェア

pagetop