白狐のアリア
「これは俺の百鬼。これは桐生に。それから、これは藻女にだ。忘れず渡せよ」
「わかってます。……主」
「嫌だね。俺は飽き飽きしていたのだ。それはお前も知ってるだろう?」
「ええ、そりゃもう。何度貴方の剣の相手をさせられたか…
…って、話が違うでしょう!」
「ははは」
「笑い事じゃありません! 本気ですか!?」
「ああ、そうさ。俺は行く。じゃあな、牛鬼。
……しっかりやれ」
そう言うと、愛刀だけを持って、白火は天香久山神の方へと歩いて行った。牛鬼はそのあとを追うのみだ。
天香久山神はふわふわと浮いたまま、その様子を見守っている。