―彼氏と彼女―




 言って、すぐまた歩き始めた彼に、


「……ありがと…」



 私のお礼は彼に届いたかな?





 そのまま何も喋らず、あっと言う間に駅に着いた。



「沙智の駅どこ?」

「うちは松葉台」

「じゃー同じだな。 俺その一つ手前だから」



 改札を抜けると階段を上がる。
 隣の小林君はやっぱり少し前を歩く。



「もしかして谷中?」

「そう! 俺んち松葉台と谷川の間なんだ」


 ニット笑う彼を見た時、ちょうど電車が来た。


 私達は残りの階段を駆け上がると電車に飛び乗った。

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