初恋の宝箱

「佐倉?」

声を聞いた瞬間、桃子はハッとした

この声が声だけはかっこいい、と思っていた主の声なのは反射的にわかった

あっ、最近は顔もかっこいいと思っているのかな私...

顔を上げるとテキストとチョーク入れを脇に抱えた柳瀬が立っている

柳瀬は普段見慣れない桃子の袴姿に少し動揺している様子だ

「お前の袴姿初めて見たよ。なかなか様になってるじゃないか」

桃子が黙っていると柳瀬が桃子の方へ降りてきた

普段教室では見せない笑顔と共に

「私、教室に忘れ物しちゃって取りに行ってもいいですか?」

柳瀬の笑顔と褒め言葉?にドキドキしながらも桃子はなるべく平常心を装った

ああ、という柳瀬の声と共に二人は4組へ向けて歩き始めた

175センチ前後の男子生徒が多いせいか、168センチの桃子は日頃はそんなに男性との身長差が気にならないが、こうやって180センチの柳瀬と二人で並ぶと、

心なしか柳瀬はやはり大人の男性で頼り甲斐があるように思ってしまった
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