初恋の宝箱
そんな悶々とした気持ちを抱えたまま桃子は日々を過ごした
気持ちが落ち着くのは、部活の剣道に打ち込んでいる時ぐらい
しかし、ある日の部活終わりー
教室に忘れ物をしたことに気付き袴姿のまま桃子は教室に戻った
部活が終わる時間であれば教室に鍵がかけられていることは珍しくない
「失礼します。2年4組の佐倉ですが4組の鍵ってありますか?」
職員室に立ち寄り、教室の鍵を貰うことにした
「確か4組なら柳瀬先生が補習で使ってるんじゃないかしら?」
そう答えたのは古典を担当している中年の女性教師だ
「わかりました。ありがとうございます。失礼します」
柳瀬が英語の成績は最下位に近い自分以外に大して補習をすることなんてあるだ
そんな暢気なことを思いつつ職員室がある1階から2階の階段を昇った瞬間
桃子は自分の姿にハッとした
『袴脱いで制服でくればよかった』
袴姿の桃子は女の子というより
女剣士
『出来ることなら柳瀬には見られたくないな....でも更衣室まで遠いし...どうしよう』