シガレットとキス
「図星か」
「……」

 答える言葉を無くしていると、彼は店の外で煙草を吸うと言って立ち上がった。

「煙が嫌じゃなかったらあんたも来ない?」
「あ……はい」

 言われるまま私も立ち上がって、黙って彼の後ろをついて歩いた。
 他の人は盛り上がっていて、私たちが席を外す事を特に何か言ってくる人はいない。

 私たちは、少し風の強い夜の闇に包まれたベランダっぽいところに出た。

「さみ……」

 つぶやきながら、煙草を口にくわえる。
 その仕草が妙に様になっていて、思わず異性を感じてしまう。

「あんたも吸う?」

 火をつけた直後、私を見て彼はそう言った。
 私は黙って首を左右に振る。
 すると、彼はクスリと笑って「冗談だよ」なんて言った。

「じゃあさ……キスする?」

 スーッと白い煙を吐いて、彼はそうつぶやいた。
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