私の彼は勇者です◇TABOO◇
全ては愛の為に


深い森の中
カイルは銀の刃を
ためらいもなく垂直に振り、魔物を退治する。

「弱くてつまんねー」
そう言うカイルは私の彼氏。

魔法学校の同級生
イケメン成績優秀

修業のひとつとして
私とペアを組み
【悪の大魔王】を倒す為、森を進む。

強い恋人は言う

「俺と組めて幸せだろ」
「めんどくせー」
「もっと強い敵はいないのかよ」

確かにカイルとペアを組む事で、皆に羨ましがられ私も有頂天になっていた

けど……何かが違う。

ふたり
森を進むと
ひとりの若者が剣を持ち
スライムを斬っていた。

「バカだよなー。あいつスライムばっかり斬ってんだぞ。百匹目標だとさ」

後輩のミルコ
真面目で優しい瞳が印象的

「それより」
急に手を取られ
湖のほとりに連れ込まれた。
白いユニコーンが驚き
金の魚が跳ね
人魚が歌声を止める。

私はフードを剥がされ
胸元に冷たい手が入る。

「一発抜いて。口でもいいから」

「いや」

「はぁ?」

「嫌っ」

「偉そうに何だよ。俺に捨てられていいのか?森の中で魔物に襲われるぞ」

腰に光るのは
レアアイテムの剣。

一流の勇者の証

でも私は……。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop