32回、好きって言うよ。



「あ、如月ちゃん……だっけ?」


「はい」





「……あんたは特別なのかもね」




少し寂しそうに言った先輩。


その言葉の意味がわからず、首を傾げた。



「早見くんがあんなに優しく笑うの、あんたの前だけだもん」



「え……」



「でも、あたしだって負けないからね!」


「はい!あたしも頑張ります!」





怖いと思っていたリーダーっぽい先輩は、高嶋先輩っていうらしい。



話してみたら面白くて、いい人だった。



「よし、あたしも帰ろう」



裏庭から出ると、翼先輩の姿を見つけた。


たたっと走って近付き、話しかける。

振り返った翼先輩は、くくっと笑った。



「へ」


「お前、すごいな」




何のこと?

また笑う翼先輩。




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