32回、好きって言うよ。
ビックリして翼先輩を凝視する。
あ、やっぱりカッコいいな。
あたしよりまつげ長いなんて、ずるい。
「…あんま見ないで」
「あ、はい」
そう言われると視線のやり場に困って、プリントを見た。
手、綺麗だな。
指も長いし、血管とか萌えるって美紅が言ってたっけ。
翼先輩が使ってるあたしのシャーペン、 宝物にしなきゃ。
カチ、カチ、と時計の音だけが響く。
何か話したいのに、話題が見つからない。
窓から入った風に、乱れた前髪を直すと。
翼先輩も、鬱陶しそうに髪をかきあげた。
いま、同じ風が2人の髪を揺らした。
それだけで無性に愛しくて。
いつの間にか書き終わっていたプリント。
あぁ、今なら言える気がする。