【番外編】惑溺 SS集
 
膨らませた頬が勝手に元に戻り、思わず緩んでしまいそうになる自分の表情筋をなんとかひきしめながら、リョウを見上げた。

「食べるって今?」

「うん」

「ショートパスタも入れる?」

「パスタはいいや」

「ズッキーニ入ってるけど大丈夫?」

「少しなら我慢する」

「ん、わかった。少な目にするね」

なんか、今日のリョウいつもと雰囲気が違うな、
と思いながらお鍋の乗ったガスコンロに火をつけた。
どこがどう違うかって言われると、はっきりは言えないけど、でもなんだかリョウの口調や表情がいつもより柔らかい。

「今あたためるから、ちょっと待っててね」

具だくさんのスープ。下の方が焦げ付いたりしないようにと、おたまでゆっくりとかき混ぜながらお鍋をあたためていると、突然背中にぬくもりを感じた。
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