【番外編】惑溺 SS集
私の掠れて鼻にかかったような声に、くすりとリョウが笑う。
彼の唇が少し開いて白い歯がのぞいた。
唇の間から漏れる熱い吐息が頬をくすぐる。
押さえ付けられた手首がどくん、どくんと激しく脈打つ。
ダイキライ、リョウなんて。
自分勝手で、傲慢で、乱暴で、冷たくて。
ケンカの後に一週間も放っておいて、謝りもせずにベッドに引きずり込むなんて。
なんて身勝手な男。
それなのに、
「……由佳」
リョウは耳元に唇を寄せて、低く甘く私の名前を呼んだ。
ずるい。
そんな声で名前を呼ばれたら、全部どうでもよくなるじゃない。
いつだって私の名前を呼ぶあなたの声は、どんな言葉よりも甘く優しく、私の心を一瞬で奪っていく。