社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
お義父さんのその言葉を聞いて、話す相手になってほしいと私に言った本当の理由が分かった気がした。
もしかするとお義父さんは私にマンションまで、送るよと言わずに、話し相手になってほしいといった事で私が遠慮しないようにしてくれたんだ。
――拓斗さんが優しいのはお義父さんが優しいから、そしてお義母さんも優しいから、とっても素敵な拓斗さんになったんだ。
「楽しそうだね」
「そうですか?」
「見てるこっちも楽しくなるような素敵な笑み」
ハンドルを握るお義父さんの横顔は当然だけど拓斗さんと似ていて私を嬉しくさせる。
「何か幸せになるような光景を見たのかな?」
「見ました」
「どんな光景だったか教えてくれないか?」
「はい。それは…」