社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



そんな事社長が一番分かってるはずで、万が一会議が長引きスケジュールにずれが出てしまう事を恐れてるのは社長自身だ。





「拓斗、困らせるんじゃない。食後に目を通したらいいじゃないか。なあ?」





会長からの助け船に俺は大きく頷く。


――これだから困るんだ。


社長は奥様の作った愛妻弁当を食べる時は仕事を忘れ、落ち着いて食べたいらしく、弁当箱を片付ける前に仕事について話せば機嫌が悪くなってしまう。


だからなるべく避けている。


不機嫌になり仕事のペースを落とすともなれば俺の仕事が増えるだけ、それでも今渡した書類は昼イチに行われる会議の書類で、渡すのは今しかない。





「お願いします」

「あぁ」





書類を受け取った社長はテーブルに置く。



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