社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



どんっと拓斗さんをつけ飛ばし、起き上がる事もなく乱れた呼吸でベッドの上で仰向けになったままの、そんな私に手を伸ばそうとした拓斗さんに、ぎゅっと瞼を下ろした。





「なん、で」

「優子」

「怖いです…。拓斗さんが怖いです!」





けれど私が嫌々と両手で顔を隠すと、拓斗さんは私に伸ばした手を引っ込めた。





「――」

「――」

「――」

「――」





拓斗さんは怖くない、拓斗さんが大好き。


けど、今の拓斗さんは怖いし、大好きじゃ、ない。





「すまない」

「うぅ…っ」





どうして?


私がプレゼントを渡すタイミングを考えてた事をバレたくなくて、言葉を濁したり、拓斗さんを避けようとしたから…?



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