宝物〜絆〜
 店長が出て行った後、休憩室は一瞬、時が止まったかのように静まり返る。

 永田さんは首を傾げて苦笑し、秀人は不思議そうな表情で私を見ていた。

「さあ、じゃあ私たちも行きましょうかねえ」

 永田さんの一言に、私と秀人は頷いて煙草の火を消す。

 そんな中、香奈だけが膨れっ面で携帯を操作し始めた。

「香奈ちゃんも、ほら」

 永田さんはコーヒーの紙コップを片付けながら促す。

「はい、すぐ行きます」

 香奈はまたいつもの笑顔を作って答えた。

 一体、香奈は今、何を思っているんだろう? 秀人の事? 私をどうするかって事? それとも全く関係ない事?

 ふと過ぎった疑問をなるべく考えないようにして、私は休憩室を出た。

 そしてバイト中は何事もなく時が過ぎ、昼休みを迎える。

 先週は香奈と三人、お昼が一緒だったけど、今日は永田さんと三人だった。

「お疲れ様です」

 私は気になる事があって、サッと手洗いを済ませるとロッカーに向かう。

「お疲れ様。ところで秀人くん、美咲ちゃんとはいつから?」

「お疲れ様です。えっと、いつからって?」

 後ろでも気になる会話が繰り広げられているが、ひとまず携帯を開いた。予想通りの人物からメールが届いている。
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