宝物〜絆〜
「仁……じゃなくて、坊主頭の方じゃねえかな」

 オールバックの男が答えた。

 坊主頭より弱いのか。っつっても、前回は初めにやられた雑魚二人以外は見てねえからな。坊主頭がどの程度なのか分かんねえけど。

「んじゃ、美咲なら大丈夫だな」

 立川の安心したような声が聞こえてくる。

「ああ。……つか、もし美咲に何かあったら、あいつ殺す」

 秀人の怒りを押し殺したような声。ありゃ相当キレてんな。

 つか二人とも私の事、気にしすぎ。立川が強えって言う程の奴を相手に、人の心配してる場合じゃねえだろ。

「お前らの相手は強えんだろ? こっちは何とかすっから、もっと集中しろよ」

 私の言葉に秀人は「気をつけろよ」とだけ返して自分の相手に視線を戻した。

 ちなみに秀人たちの方には四人居て、残りの一人――坊主頭は今回は参加しないらしい。

 そして私の前に居る男はもちろん私の相手である。

「お前、ナメてんのか?」

 男はさっきより更にヒートアップしている。
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