宝物〜絆〜
 帰り道に、また夜メシを一緒に食おうって話になって、今日も秀人がうちに来る事になった。

「つか美咲、何かボーッとしてっけど大丈夫か?」

 秀人は、私からお茶を受け取ると、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

「あ? あぁ。わりぃ、何て?」

 妙な胸騒ぎのせいで相変わらずあれこれと考えていたら、秀人の言葉が全く頭に入って来ず慌てて聞き返した。

「だから何ボーッとしてんだよ。バイトん時からおかしいぞ?」

 お茶をテーブルに置いて、再びこっちを覗き込む秀人。

 いかんいかん。そんなに態度に出てたのか。秀人にも余計な心配かけちまうし、あんま変に考えないようにしねえとな。

「そうか? いつも通りだけど」

 私は咄嗟に笑顔を取り繕った。

「はぁ。まぁ言いたくねえなら良いけどよ。何かあるなら相談に乗るから、いつでも言えよ」

「サンキュー。でも本当、何にもねえから大丈夫だよ。さっ、メシ何にする?」

 秀人の優しさを存分に噛み締めて、気持ちを切り替える。

 一度(ひとたび)スイッチを切り替えてしまえば、ポーカーフェイスは私の得意技。その後は秀人と楽しい時間を過ごした。
< 71 / 475 >

この作品をシェア

pagetop